カレーになりたい 181128

ラオスの食に明るい“アンドシノワーズ”のおふたりに会って、色々と教えてもらった。彼らの存在は前から知っていたし、噂も聞いていた。でも、これまで会う機会がないままだった。たまたま、「ラオスのカレーが……」とワーワー騒いでいたら、カレーの学校の生徒であるゆきこさん(彼女もまた食の人だ)が「いい人がいます!」と紹介してくれることになったのだ。
そのときに初めて、「そうか、そういえば、彼らは仏領インドシナの料理に特化したチームだった」と再認識したのでる。アトリエにお邪魔して、ワインを片手に4人で2時間ほど立ち話をする。ゆっくり座る間もなく話が盛り上がったから。ラオスを含む周辺の食文化についてはかなり色々と参考になる話を聞けた。12月のラオスは、わずかな期間の取材旅行の予定だけれど、いっそう興味が出た。
それにしても、聞けば聞くほど、アンドシノワーズのあずささんとは接点が多かった。カリ~番長メンバーと同郷だったり、リーダーやカレー将軍のSHINGOとは飲み仲間、スパイス番長のシャンカールは、彼らのアトリエで何度か食事をしたことがあるそうだ。「僕もどこかでお会いしてますよね?」と尋ねると、なんと、7~8年前(かな?)に仕事でご一緒していた。「ああ、あのときの!」となった。
でも、ちゃんとゆっくり話をするのは初めてのことだった。そして、今日をキッカケに少なくとも僕にとって彼らは特別な存在になった。これから接点は強まっていくのだろう。
人との付き合いについて、昔から思っていることがある。それは、自分にとってその人が会いたい存在であるかどうか、その人にとって自分が会いたい存在であるかどうか、を常に大事にしたいということだ。というよりも、僕の場合、そのどちらかがあって初めて誰かとの付き合いが成立する。時間に余裕がないからという理由も大きいかもしれないし、そもそも僕自身が社交的な人間ではなく、根暗な人間だからという理由もあって、人と付き合うことの基準がそうなってしまった。いいことだとは思わない。でも仕方がない。
だから、パーティとか異業種交流会的な意味合いのある不特定多数が集まる場がとにかく苦手だ。誰かに誘われて顔を出しても、5分で居場所がなくなり、そわそわしてしまう。「○○さん紹介するよ」なんて言われようもんなら、逃げ出したくなる。形式的に名刺の交換をしたところで、この名刺、どうしたらいいんだろう……と悩んでしまう。
ケータイを持たない生活をしていた時代に感じたことがある。おびただしい数の人の連絡先を保存した機器、瞬時に誰かとコンタクトがとれる機器を手にしていたところで、1日24時間、1年365日で僕が直接顔を合わせられる人間は、ほんのわずかだ。ケータイや名刺がなくたって、僕が会いたいと思う人には会いに行くし、僕に会いたいと思う人は会いに来てくれる。それ以外はいらないじゃないか。
会いたいと思ったときが会うべき時であって、そうでないときに同じ空間にいたり、顔を合わせたり紹介されたりしたところで、当たり障りのない世間話をするくらいしか自分にはできないのだ。要するに僕は極めて社交性の低い人間だということだ。僕とアンドシノワーズさんたちにとっては、今日がその日だったんだろうな、と思う。たとえ何年も前からお互い存在を知っていても、共通の知人がどれだけいようと、そんなことは僕にとっては関係のないことだ。ともかく今日の2時間はとても充実していた。僕は会いたい人に会いに行った。受け入れてもらって楽しく過ごした。それはなんとなんと素敵なことだろう。感謝しよう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

CAPTCHA


▲UP