カレーになりたい 181019

生まれて初めて鳥取に来た。
ローカル線の智頭急行を貸し切り、車内でポッドキャストラジオ番組「M響アワー」をやってほしいという依頼。カレーで全国各地に呼ばれてきたけれど、M響アワーで呼ばれるというのも生まれて初めての体験だ。主催者は、ヘビーリスナー。カナダ在住の学者だから、カナダで僕らのラジオを聴いてくれていたことになる。
このM響列車の参加者もヘビーリスナーが多いが、18席限定のチケットが取れず、キャンセル待ちが続出したという。主催者は自分自身がヘビーリスナーであるにも関わらず、「正直言ってこんなに反響がいいとは思わなかった」と漏らしていた。
M響アワーというラジオ番組は、かなり特殊な存在で、リスナーは全国に(国外にも)そこそこの数いるはずなのに、リスナーが「こんな番組を好き好んで聞いているのは自分くらいだろう」と思う傾向にある。そして、「このラジオを聴いていることがばれたら恥ずかしい」と思う傾向もある。
まあ、僕とリーダーが、カレーの話をせず、どうでもいい無駄話を延々とし続けるわけだから、そんなものを毎週30分も聞いてくれる人は稀有な存在なのだろう。6年が終わり7年目に突入したこの番組は、全340回近くなる。この30分×340回のラジオを10周以上聞いている人もいるというから恐ろしい。最近では、「水野さんのカレー活動については正直いってあまりよく知らないんですが、M響アワーのことは大好きです」という人まで出てきた。
そういうなら、僕も正直に言わせてもらうと、本当は、「水野さんのカレーが大好きです」とか「水野さんの本が大好きです」と言われるよりも、「M響アワーが大好きです」と言われることのほうがはるかにうれしい。なんというか、僕の本質が最も顕著に出ているのがあのラジオ番組だと思うからだ。
そんなわけで、ずいぶんヘンテコな企画に乗っかって、僕は鳥取に来た。列車が走る。僕はしゃべる。一応、カレーも作って提供する。それが終わったら、東京へ戻る。こんな機会は、今後もそう多くはないだろう。楽しもうと思う。

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