カレーになりたい 181014

アチャールの学校に参加してきた。見習い生徒として。
千歳烏山「ハバチャル」の飯塚シェフが講師を務め、アチャールの作り方の授業をする。僕は見習い生徒にも関わらず、あれこれと出しゃばって、途中で質問をはさみまくり、進行の邪魔をしながら気がつけば不良生徒になっていた。
アチャールは、来年のスパイス番長チャローインディアのテーマである。だから興味深いテーマだったし、色々と勉強になったし、考えるヒントとなるポイントがたくさんあって充実した時間だった。
90分をかけてじっくり2種類のアチャールを作り、その後は、酒を飲みながら食事をした。
授業が始まる前に飯塚君が2種類の髪を生徒に配った。何の紙だろう? レシピかな? と見ていると、レシピではない。ひとつは、「アチャールの説明」、もうひとつは、「アンケート用紙」だった。アンケートには、アチャールについて感じたことや質問したいことを書き込む形になっている。授業が終わり、食事を始めるまでの間に参加者が書き込み回収する。食事がひと段落したところで、飯塚君がそのアンケートを1枚ずつ読み上げながら、自分なりの回答をし始めた。
飯塚君は決して人前でよくしゃべるタイプではないから、アンケートの回答も朴訥とした感じで飯塚君らしい。どうこたえようか頭を巡らし、言葉を選びながら丁寧に答えている。そこにまた僕が身勝手に突っ込みを入れたりした。僕も料理教室やデモをするときに後半の試食中に質疑応答の時間は必ずもうけるようにしている。でも、それとは何か違う時間が流れていた。
僕の質疑応答は、質問者からの質問内容をネタにモチーフにキッカケにして、みんなが知りたそうなことを代表して話し、さらにマニアックなことを知りたがっていそうな人の欲しがる話もし、ついでに持論まで展開するような応答になる。だから、30秒の質問に対して10分、15分と回答することもよくある。質問内容はあくまでも道具に過ぎないのかもしれない。
飯塚君の質疑応答は、質問者ひとりひとりと向き合って応答している感じがした。授業をしてくれた先生が、こんなに親身になって自分と向き合ってくれたらきっと嬉しいだろうな、と思った。それは飯塚君のキャラクターがそうさせているのだろう。そして、飯塚君は、アチャールの学校を引き受けるにあたって、飯塚君なりにどうしたら生徒さんたちが満足してくれるかを考えた結果、アンケートを配ろうということを思いついたのだろう。それは、飯塚君にとってはレシピを紙にして配ることよりも大事な行為だったのだろう。
アチャールの学校は、全体を通してとてもすてきな時間の過ごせる学校だったけれど、何よりも、アンケートに答えている飯塚君の姿が今も頭から離れない。何か、あそこに今後、僕がカレーの活動をしていくうえで、大切なヒントが眠っているような気がした。まだそれはぼんやりとしかつかめていないけれど、しばらくの間、僕は、自分が何かをするときに飯塚君のあの姿を思い出して我が身を正すんだろうなと思う。

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