カレーになりたい 181002

地元に少しでも貢献したい、という気持ちが芽生えたのは、40歳を過ぎてからだ。
まさか自分にそんな気持ちが生まれるとは思ってもみなかった。東京に出てきて東京で好きなことをしているのだから、若いころは、地元に帰るのは「負け」を意味すると思っていた時期すらある。40歳になるまで同窓会の類の話はすべて見て見ぬふりをしてきたし、東京にいる同郷の友達との飲み会や集まりもあえて避けてきた。昔話に花が咲いて、楽しい時間を過ごすのが嫌だった。そんなことをしている暇は自分にはない、と自分へ勝手にプレッシャーをかけているつもりだった。
ところが、40歳を過ぎたあたりから、生まれ故郷への感謝の気持ちが出てきたのは、人生の折り返し地点を過ぎたから、ということなのかな。
数年前、TEDxHamamatsuというスピーチイベントの依頼が来たとき、「これがTEDxTOKYOからの依頼だったら断るだろうな」と思いながら受けさせていただいたことを思い出す。あのときに、「あれ? 自分にそういう考えがあるんだな」と自覚した。
地元の静岡新聞の夕刊で、全13回の連載をスタートさせていただくことになり、初回の掲載があった。実家の母親のところには、「読んだよ」という電話が何本もあったという。嬉しいことだ。頑張って残りの12本も書こうと思う。
地方の時代だと言われて久しい。一方で僕は都会が好きで東京好きだ。海外だって、ロンドンが好き、パリが好き、上海が好きなのである。だから、地方の時代という考え方には「そうかなぁ?」とあまり賛成はしていないけれど、歳を重ねると地方や田舎や地元に目が向くのはとてもよくわかる。理由はなんであれ、そんな風に大都市以外のところに目を向け、やりたいことを見つけた人たちがその地域を盛り上げているのかもしれない。
まもなく、四国の各地を訪問する小さな旅に出る。基本的には食材を探求する旅だけれど、すでにいろんな人からのリクエストで「あそこに行ってきて」とか「あの人に会ってきて」とか、そういう情報が満載。東京にはない熱に出会えるのかもなぁ、と期待している。

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