カレーになりたい 180918

生のナツメグを解体する。果肉にナイフで切込みを入れてふたつに割り、赤いメースをはがして黒いナツメグの殻と分ける。この作業をしながら高橋仙人君とメースについて議論した。イルワンさんも途中で入ってきた。メースは生の状態は赤いが、ナツメグが熟す前のメースは部分的に白い。真っ白いメースもある。イルワンさんによれば、赤い時期よりも白い時期のほうが油分が高いそうだ。要するに香りが強い。実際に嗅いでみると、確かに白いメースのほうが香りがいい。面白い! そうか、白メースが一番いいのか。などと言って盛り上がる。
このとき、白いメースをめぐって僕と仙人君とでは捉え方が少し違う。
仙人君は、スパイス商品の開発販売をメインにしているから、すぐに「この白いメースを使っていい商品ができないだろうか」というふうに頭が働くようだ。白い色と香りを保ったまま何かしらの形状でなにかしらの料理に使ってもらえるような商品開発。
僕は、スパイスにまつわる何かしらのアウトプットをして付加価値を感じてもらう活動をメインにしているから、すぐに「この白いメースを使って面白いイベントや表現ができないだろうか」という風に頭が働く。どんな切り口で何をすればいいかの企画検討。
共に白いメースに興味を持っているのだけれど、その先が違う。
前者の仙人君は、最終的に商品化まで結びつけるのは、なかなか大変だ。そもそも、それなりの数の人が買ってくれるという目算がつかない限り、踏み切ることはできない。だから、商品開発を前提にしていると、いい情報を持っていてもそれがアウトプットされないままお蔵入りしてしまう可能性もある。その分、商品ができたらダイレクトに味わって感動してくれる人が生まれる。
後者の僕は、いいアイデアさえ浮かべば、帰国後すぐに白いメースを使ってイベントができたり、カレーを作ってみたり、トークショーでしゃべってみたりすることができる。アイデアの精度は問われるけれど、どういう形であれ、僕が実行しさえすれば、白いメースは世の中にアウトプットされることになる。ただ、僕が感動したのと同じように誰かが感動してくれるといった、具体的な追体験は届けにくい。
一長一短あるけれど、僕のいる場所は彼のいる場所と違って、アイデアと実行力だけでなんとかなるんだから、もっともっとやれることはたくさんあるはずだな、と思った。

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