カレーになりたい 180915

ナツメグ、メースはちょっと後回しにして、クローブを探しに行った。
楽しみは後に残したほうがいいからね。
南東へ湖を超えて海辺の街まで。小高い山を登っていく。途中、イルワンさんが車を停めた。クローブの木が集まっているエリアだという。緩やかにカーブする山道のちょっとした下り坂の左端に車が停まる。ドアを開けてアスファルトに降りた直後、辺り一面にクローブの香りが充満しているのがわかった。
「うわぁぁぁ!」。
すごい。すごいとしか言いようがなかった。自分の周りの空気がクローブの香りに満ちている。こんなことがあっていいんだろうか。確かに道沿いには何本もクローブがそびえたっていて、どの木も10メートル近いとろこまで伸びているから存在感はあるが、まさか、天日干しもしていないクローブが、花のつぼみもまばらになっている程度のクローブがこんなに香るとはおもわなかった。それは、木全体からそこはかとなく香っているとしか説明しようがない。
楽しみは後に残したほうがいい、だなんて言ったのは、いったいどこのどいつだ!?
この体験をした直後に僕は確信した。きっとこの出来事は、僕にとって過去にも思い出せないほどエポックメイキングなもので、ちょっとだけ鳥肌が立つようなこの感覚をこれから先、何度も思い出してはことあるごとに語っていくに違いない。
かつて、シナモンやシナモンリーフで味わった「スパイスって面白い!」と直感したあのときに匹敵するようなゾクゾクが久しぶりにやってきたのだから。クローブというスパイスを今までよりもずっとずっと好きになってしまいそうだ。
これを他の誰かが追体験できる仕掛けを何か考えたい。インドネシア・マナドを訪れる、ということ以外に実現する方法を。
楽しみは後に残さないほうがいいよね。きっと次から次へとやってくるものだから。

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