カレーになりたい 180814

火か電気か、それが問題だ。
最近、ガスではなく、IHの環境で調理することが増えている。ワークショップや料理教室、試作、イベント会場など、火の使えない場所が増えていることが一番大きな理由だろう。そこで前からずっと思っていたことがある。
おそらく、将来的にIHが主流になっていくのだと思う。レシピ(本もそれ以外も)も、IHを前提にしたものが増えていくに違いない。
個人的な好みでいえば、断然、火を使いたい。火が見えている、手をかざすと温度を感じる、ということが料理人としての自分の感覚にそれなりに備わっているから、ガスのほうがおいしいカレーができると僕自身は思う。でも、本当は、そうとは限らないとも思っている。火か電気かは問題にならないはずだ。いずれにしても調理道具。道具である以上、使う側が使いこなせる技術を持っているかどうかが問題だ。
IHで調理する機会が増えたおかげでIHを使って火の時と同じような味わいを生み出す感覚がついてきた。すると次第に、火じゃなくても大丈夫だな、という気がしてくる。自分のスキルが上がっているのだと思う。そして、僕が提案するレシピを他の誰かが実践するときには、IHのほうがぶれが少ない気がする。「中火で10分」とやるよりも、(各メーカーの規格が定まっていれば)「4番の火力で10分」としたほうが同じ加熱具合になる。
要するに大事なのは、「再現性」である。僕自身が頭でイメージする味わいを目の前で再現する「再現性」とレシピの読者が僕のカレーを自宅で再現する「再現性」。
AIR SPICEは、専用の鍋と専用のIHクッキングヒーターをセットで販売するようになったら、再現性は抜群に高まるだろう。いつか、そういうことをする時代が来るのかもしれない。そうまでして、再現性をできる限り高めたうえで、「本当に大事なのはそこじゃないんですけどね」という料理の本質論は、その先にあるのだけれど、ね。
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

CAPTCHA


▲UP