カレーになりたい 180619

韓国のテレビ局から取材依頼があった。
カレーについて2時間の“グローバルドキュメンタリー”を作ろうとしていて、水野をメインキャストとしたいと考えている、というような話だった。
1日2日は寝かせて考えたけれど、実際には反射的に「お断りすることにしよう」と思っていた。
その旨をメールする。
……と、数日後に今度は通訳兼コーディネーターからではなく、番組のプロデューサーから改めて「再検討してもらえませんか?」と依頼があった。
そのメールは長い文面で、とてもうれしいことに自分たちがどれだけこの番組にかけているか、とそこに水野がどうしても必要なんだ、というような内容が書かれていた。
日本語訳されたメールの文面からは、カレーに関する僕の活動についてつぶさに追いかけてくれていることが手に取るようにわかった。
それでも僕の警戒心はすぐには解けなかったのだけれど、「どんな内容なのかをもう少し具体的に話を聞かせてほしい」と返事をした。
(我ながらなんと偉そうな対応なんだろう)
そして、韓国から番組製作スタッフが2人、東京にやってきた。1泊2日だという。
新宿中村屋でランチをしながら話を聞く。
驚いたことに、韓国で翻訳出版されている僕の本を2冊読み込んでくれていたことのほか、東京カリ~番長、東京スパイス番長の活動にも注目してくれ、TEDxのトークを聞いてくれ、あろうことか(笑)、チャローインディアの存在まで知ってくれていたのである。
番組の企画も内容もとても興味深かったから、僕は、この話を受けることにした。
ラボに場所を移して夕方過ぎまでたくさんしゃべり、大まかなスケジュールを決めて解散となった。別れ際にこれだけは伝えておこう、と思ったことを口にした。
「僕は2通目に送っていただいたメールの内容に感激しました。ありがとうございます。あのメールで、前向きに話しを聞いてみたいと思ったんです」
すると、2人は2人でうれしそうに、こう話してくれた。
「2通目のメールを送ったあと数日間、私たちは、毎日『水野さんから返事がもらえますように』と祈っていたんですよ」
この先、このカレー番組がどんな方向に仕上がっていくのかは未知数だ。ただそんなことより、自分のことをまっすぐ理解しようとしてくれ、価値を感じて依頼をしてくれているかもしれない人たちに気づかず、その意志をスルーしてしまいそうになった自分を恥じる。
鈍ってきているのかな。
そんなことじゃあ、いけないよな。
久しぶりに反省しなきゃいけないできごとだと思った。
 

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