カレーになりたい 180515

「LOVE SPICE」という小冊子(イートミー出版)の最新版が届いた。
僕の好きなカレー店のシェフとスパイスに関する対談をし、収録した文庫サイズ16ページの小さな冊子である。イートミー出版の本は、納品された後にささやかな喜びが割と長く継続する。だから、ときおり手に取りながらニヤニヤしてしまったりする。
今号は福岡スパイスロードの高田さん。対談を読み返していると、熱中しているものに真っ直ぐ向き合って話す姿が思い起こされる。
この小冊子を僕は、全国700軒ほどのカレー店に“勝手に”送りつけている。同じカレーという分野で同じカレーという料理に情熱を傾けている人が全国各地にいることが少しでも伝わって、何かの刺激になってくれたらいいと思っている。考え方は全員が違うから、話の中身に共感してほしいとは思っていない。むしろシェフたちは個性的で独創的で自分にしかない哲学を持っていることが魅力だから、「わかるわかる」という意見の裏側で、「わかってないな~」みたいな意見もあったりするだろう。中身はともかく、同じステージに立っている人の姿を届けることに僕自身が想像できない何かが始まるのではないかという期待を込めている。
今のところ、たくさんの反響をいただいている。「お店に置いてお客さんにも読んでもらいたい」とか、「勇気が出た」とか「自分もいっそう頑張りたい」とか。
ただ、そうばかりではない。700人に届けば、当然、警戒する人だっている。理解してもらえないケースもある。だって、突然、東京にいる水野という男からスパイスの小冊子が届くのだから。「これからもお送りします」だなんてコメントがあったら、「そのうち請求書が同封されたりするのだろうか」などと不審に思われてもおかしくないのだ。
でも、僕はこの手の活動をこれまでずっとやってきたから、継続すればいつか信用を獲得できると思っている。
「何が目的なの?」と疑われることには慣れている。
目的はない。自分の好奇心に従って動いているのだから。何が目的なのかわからない活動をしている人間が一人くらいカレーの世界にいてもいいんじゃないかと思っている。だから、この「LOVE SPICE」もまた700軒のカレー店に郵送しようと思う。いま僕はこのLOVE SPICEの取材対談が楽しくてたまらないから、時間を空けずにどんどん全国のカレー店をめぐり、どんどん形にしていきたいと思う。
次は京都のあの店に行こうかな。

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