カレーになりたい 180221

紀行本「チャローインディア」を書くのはやめにしようかな、という気持ちがちょっと出始めている。
今年も東京スパイス番長のメンバーとインドに来た。もう8年目になる。
マニアックなテーマを決めて掘り下げるのが目的だ。その内容をルポにして「チャローインディア」として出版している。
でも、今年は書けるかな。
いや、書けるとは思う。
書くのかな。
これまでチャローインディアではマニアックなテーマを設定してきた。
ただマニアックなだけではなく、目的がキャッチーだった。バッファローの乳しぼりに行くとか、ガンジス川で魚を釣るとか。今年のテーマは、「チェティナード料理とはなにか?」である。南インドのとある限定的な地域で食べられている料理を掘り下げる。テーマとしては面白いと思う。マニアックなのも僕たちらしくていい。
ところが、キャッチーな目的がない。
何をしに行くの? 
砂漠に穴を掘ってヤギを焼くとか、ダージリンの山を登って茶葉を摘むとか、そういうものがない。
その点が出発前からずっとひっかかっていた。
チェティナード料理とは何か、についてはそれなりに深堀できている。エキサイティングな発見もそこそこはある。でも、ね。
さて、どうしようかな。
書くのかな。
書かないのかな。
「チャローインディア」は自費出版だから、書く、書かないは自分で決められる。それがいいような悪いような気がする。締め切りがあれば書くしかないが、締め切りももちろんない。
インドへ旅に来てからもう1週間ちょっとが経った。この間もうれしいことにポツポツと新しい仕事の依頼メールが届く。でも、旅先にいるせいか、もしくは、今年は、じっくりやりたいことを突き詰めようと方針を決めたせいか、できるだけそういうメールは見ても見ぬふりをしてみたり、「時間がないので」とお断りしたりしている。
依頼のある話を断り、自分でやると決めたものも放棄したら、僕はいったい何して日々を過ごすんだろう。
今は毎日チェティナード料理とは何かを考え、頭の中はめまぐるしく忙しい。充実していることは確かだ。原稿を書くか書かないかを別にすれば、このチャローインディアという旅自体は、とても楽しく充実している、ということになる。
自分が納得のいく内容で書けそうもなければ書かないという選択もある。
自分が納得のいく内容で書けそうもないのは、自分のアイデアや実力が不足しているからだ、とも言える。
原稿を書かないという選択は、僕が僕に負けることを意味するのか。
原稿を書かないという選択は、僕が僕のスタイルを通すことを意味するのか。
さて。
この旅もあと3日か4日ほど残されている。
帰国後も考え続けるのだろう。
ま、書くよ、書くんだけどね、最終的には。
書きますよ。
書きます。
書きゃいーんでしょー! 

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