カレーになりたい 171115

六本木ヒルズで、ほぼ日が主宰するイベント「生活のたのしみ展」が始まった。日曜までの5日間、僕もフードトラックでカレーを出す。
が、5日間べったり時間を空けられているわけではない。この間にもいくつかの仕事があるから抜け出したり、半休したりとシフトを組んでいる。僕がいない分は、リーダーをはじめ、頼もしいスタッフの方々が協力してくれている。それでも、僕は自分がフル参加できないことに申し訳ない気持ちを持ってします。店の名は、一応、「水野仁輔×ほぼ日 カレーの車」となっているし、「カレースターの炒め玉ねぎ」もテスト販売している。自分の名前を冠した活動なのにスタッフに任せる時間ができてしまうことが気にかかる。
できるだけ早朝6時30分から4時間ほどのカレーの仕込みには出るようにしているのだけれど、これも考え物で、仮に半日しか身体を空けられないのなら、午前の仕込みよりも午後の現場での接客に出るべきなのかもしれない。毎日開店前から行列してくれるお客さんの中には、「水野に会いたい」と思ってくれている人もいるはずだから。でも、僕は、半日あるなら、みんなの前に立つ販売現場よりも誰にも見えない裏の仕込みに時間を費やしたい。
こういうところに自分の「小物感」が出るなぁと思う。大物になれる人なら、喜んでお客さんの前に立てる時間を選ぶだろう。でも僕は、自分が店に立てなくてもお客さんに提供するカレーの味を自分が見れることのほうを選んでしまう。だから、早朝からせっせとスタッフと仕込みをして味見をして、フードトラックが現場へ向かうのを見届けて次の仕事に移るのだ。
「水野さん、いないんですか?」と聞かれました、とか、「誰々さんがいらしてました」とか後からスタッフに聞くのだけれど、そのことで申し訳ないという気持ちを抱えながらも、その分、自分の納得のいく味のカレーを六本木ヒルズに送り出したからどこかの誰かさんが満足してくれただろう、ということに期待する。
ひのき舞台にあがるよりも裏で地味な作業をしているほうが本当は性に合っているのだ。じゃ、そもそも表に出るなよなって話なんだけどね。

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