カレーになりたい 171103

もう6年近くもの間、毎週欠かさずやっている習慣がある。
東京カリ~番長のリーダーと一緒にやっているポッドキャストラジオ番組、M響アワーの更新だ。毎週金曜の朝に僕が「カレー計画」のサイトを更新している。たんの君が編集してくれた30分ほどの素材が水曜夜から木曜に上がってくると、それをチェックし、タイトルを決めてサーバーにアップするという作業を行う。たいしたことではないのだけれど、毎週欠かさず続けるのはなかなか大変だ。
忙しくて時間がないときも、二日酔いの時も、体調を崩して寝込んでいるときも必ず行う。うっかり忘れてしまいそうになったときは、リスナーから突っ込みが入るから、「あ!」となってそそくさと作業を行ったりする。問題は、海外にいるときだ。10日間とか2週間とか海外に滞在するときは、必ず金曜の朝が訪れる。かつてロンドンに3か月滞在したときなんて、金曜を何度迎えただろうか。しかも時差を計算しないといけない。どこからもネットがアクセスできる環境ならいいが、インドの山奥(?)や砂漠にいるときなんかは、ネットにつなぐこと自体が厳しいこともある。しかも、最近多いのは、ネットが使えても「カレー計画」のサイト(ワードプレス)がブロックして更新できないことだ。
先日のニューヨークでもホテルによってそれがあった。そんなときにはスタバを探すと割と大丈夫だったりする。今回、ロンドンで2日目に金曜の朝を迎えた。ホテルでサイトにアクセスできず、諦めて寝ることにした。たんの君にメールしてアップロードできないから、i-tunesに先に上げておいてもらえるように頼んでおいた。翌朝、ひとまず、ジョギングに行ってからスタバを探そうとしたら、案の定、リスナーからメールが。
「日本は金曜の夕方です。まだアップされてませんよ~」
そうなんだよね、わかってる。
楽しみにしてくれているリスナーと同じように僕にとってもこのM響アワーの番組更新は大切なことである。普段、世の中で、「カレーの人」としてさまざまなアウトプットをしている水野仁輔は、デーモン小暮風(古い)に言えば、世を忍ぶ仮の姿だと言っていい。本を出したり、講演でトークしたり、料理教室をしたりしているときの自分は、どこか優等生ぶっているし、周囲が求めている水野像みたいなものを少し意識していたりする。イベントでカレーを作っているときは、素に近いかな。でも、このポッドキャストのラジオ番組「M響アワー」では、何も演じることなく完全に素の自分を出せる。「カレーをこよなく愛する男」でなくてはいけないはずの水野がトンカツに嬉々としたり、カップ焼きそばにご満悦になっていたりする。
僕がタレント事務所にでも所属していたら、きっと真っ先に「やめなさい」と中止させられる行為だろう。きっと聞けば聞くほどブランドイメージはガタガタと揺らぐはずだから。でもこういう場所があって、僕は初めて自分でバランスが取れていると思う。だから、「M響アワーを聴いてます」と言われることは、「本を読んでます」とか「カレーを食べたことあります」と言われるよりも本当は嬉しい。ただ、「カレーの人」としての水野仁輔に価値があるのだとすれば、きっとほとんどの人にとってこのラジオ番組は「聞いても時間の無駄」となることは容易に想像できるのだけれど……。ま、それもまたいいじゃないか、と思っている。
僕はジョギングウェアに着替えてロンドンの街中を走り、ホテルに戻ってシャワーを浴びてから、PCを持って外へ出た。ジョギングの途中でスタバの場所はチェックしておいたから向かう。ラテを買って座り、ワードプレスにアクセス。つながらない。ブロックされている。この手のことは本当に苦手なのだけれど、全国各地でラジオのアップロードを楽しみにしてくれている100万人のリスナー(笑)のことを思い、「あれを聴いて人生観が変わりました!」とか「生きがいにしています!」とか言ってくれるリスナー(笑)のことを思い、あれこれとサイトの管理画面を触ってみた。すると、なんとか、アクセス成功。おお。
これで次の金曜を迎えてもきっと更新は無事できるだろう。ちなみに今回は、「キスの先手・後手」について語っている。こう書くと本当にどうでもよさそうな内容だね……。
そして、同じサイトにアップしているこの日記のようなもの、も更新できる。よかった、よかった、という言い訳をつらつらと書いてみた。
さて、カレー食べに行くとするか。

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