カレーになりたい 170920

大学時代の友達からふいにメールが届いた。
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こんにちは。昨日の日経新聞を見ていて、水野君の書籍が書評欄で紹介されているのを見つけました。早速購入させてもらおうと思います。Eテレにも出演されていたそうで、全国区のご活躍ですね。自分の好きな道を究めようとする姿、とてもうらやましい。私にできるのは本を買うくらいでササヤカで恐縮ですが、応援しております。
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彼とは写真部で一緒だった仲だから、毎年お正月にやっている同窓会飲み会の案内メールでしかやり取りがないだけに(しかも、僕は年末年始は東京にいないことが多いからいつも出席できない)それ以外のタイミングでメールが来るなんてことはとっても珍しい。
自分の道を究めようだなんて、そんな大それたことはしてないけれどね。でも、自分の活動の結果、こうやって旧友とのやり取りができるのは嬉しいことだし、「私にできるのは本を買うくらい」なんてとんでもない。どこかで応援してくれる人がいるんだと思うだけでと前を向けるからとても嬉しいなぁ。
一方で、その日経新聞に書評が出た「幻の黒船カレーを追え」については、アマゾンのサイトで厳しいレビューも書いていただいた。
「対象をキチンと調べていない」というタイトルで、「cold meatをleftover meatと勝手に言い換えたりしてます」とシンプルにコメントが書かれている。確かにあの本はジャーナリスティックな視点に乏しい内容だと思う。そして、残念ながらイギリスにおけるcold meatとleftover meatとの違いについて僕自身、詳しくは理解していない……。ただ、仮にこのレビューを書いてくれた彼(もしくは彼女?)が、そのあたりのことに詳しいのだとしたら、それはぜひ教えてもらいたいなぁ。
ネットを介して不特定多数の人とやり取りができる時代だからこそ、こういう方の知見をもってすれば、日本のカレーのルーツが今よりもっと深掘りできるキッカケになりそうだ。なんかいい方法が見つかるといいのだけれど。
昔から対談その他、色んな場所で言っていることだけど、「真実を突き止めるのは僕じゃなくてもいい、正解にたどり着くのは僕じゃなくてもいい。ただ、そのキッカケや道標になるかもしれない切り口はできるだけ提案、発信していきたい」というのが僕のスタンスだ。本を出すという行為は、「正解の発表」ではなく「切り口の提案」だ。レシピなんかもそう。「このレシピで作るカレーが一番うまいですよ」と言っているわけではなく、「こういう作り方もありますが、どうでしょうか?」と言いたくて出版している。
カレーのルーツについていえば、森枝卓士さんという大先輩が、「カレーライスと日本人」で大きな提案をしてくれた。その20年後に、僕から、また別の角度で新たな提案ができた。これをキッカケに誰かが正解にたどり着いてもらえると嬉しい。誰かが知っている事実があれば、発表してくれると嬉しい。それは、僕のいないところで行われていても構わない、と思う。
ただ、あとで僕にも教えてほしいけれどね(笑)。なんか、もう一歩で、そういう流れができる気がするなぁ。どうしたらいいんだろう。

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