カレーになりたい 170816

ここ1週間ほど日々の仕事の隙間で悩んでいることがある。ピーター・バラカンさんとの対談イベントで何を話そうか、ということだ。対談は、明日、8月17日だ。まだ頭の中が整理されない。困っている。
そんな中、今週、東京FMのバラカンさんの番組にゲストで呼んでいただき、収録をした(OAは確か今週金曜、だったかな)。楽しくおしゃべりした。しゃべりながらちょっとだけ不思議な気持ちになった。僕にとってバラカンさんは、憧れの人だ。何度か面識があるけれど、ラジオでいつも聴いている憧れの人が、こうやって今、目の前にいて自分としゃべっている。いつもの声といつものトーンで。気を抜くとポーッとしてしまう。
「水野さんとは縁があってこのところよくお会いしているんですが」
と番組の冒頭でバラカンさんが話してくれている。なんと素敵なことだろう。収録の合い間に対談イベントについても話した。
「まあ、当日スタートすれば、話は終わらないだろうから、60分や90分はすぐだね」
と言ったようなことをバラカンさんは言い、僕もその通りだと思って同意したので、それまでだったのだけれど、ホントのことを言うとそうではないのだ。イベント現場は何の心配もしていない。100人定員のイベントに何倍もの申し込みをいただいたから抽選になってしまったが、来てくれる人は絶対に満足して楽しんで帰ってもらえると思う。
バラカンさんはしゃべりのプロだし、僕もトークイベントは慣れている。打合せなんかしなくても大丈夫だ。でも、お客さんが喜んでくれればそれでいいわけではない。僕は憧れの人とお客さんの前で90分しゃべるのだ。自分にしか引き出せない話を聞きたい。そのためには、もっと本番ギリギリまで考え抜いて、中身を詰めたいと思う。だから悩んでいるのだ。(なんとまあ、欲深い人間だこと……)
バラカンさんの著書は何冊も読んでいるが、未読の本があったので、最近、読んだ。岩波新書の「ラジオのこちら側で」。バラカンさんが来日してから現在に至るまでのことを綴ったエッセイ。
そこで興味深い内容を見つけた。彼に多大な影響を与えたイギリスのラジオのディスクジョッキーがふたりいる。チャーリー・ギレットとジョン・ピールだ。彼らのしゃべり(DJスタイル)についてバラカンさんが全く別の章でそれぞれ簡単に説明している文章が面白い。
 
*チャーリー・ギレットについて
チャーリー・ギレットは、「DJ」というノリとはかなり異なった静かな語り口で、同じ部屋にいる友だちが気に入ったレコードを聞かせてくれるような雰囲気でした。
 
*ジョン・ピールについて
それまでのDJはスラスラと饒舌に早口にしゃべるのが標準でしたが、ジョン・ピールは、リヴァプール訛りで訥々とゆっくり語りかける人でした。
 
どちらにも共通点があるのだ。そして、僕にとっては、昔も今も、ラジオのあちら側から聞こえてくるピーター・バラカンさんのしゃべりは、同じ部屋にいる友だちがレコードを聞かせてくれるようであり、訥々とゆっくり語りかけてくれるようである。それがバラカンさんのDJを好きになった大きな理由のひとつだ。
そして、今、目の前にいるバラカンさんも、ときにユーモアを交えながら、優しく丁寧に言葉を生み出している。この人と語る90分を最高のものにするために、僕は最後まであきらめずに考えようと思った。
 

カレーになりたい 170816 への1件のフィードバック

  1. 兵等享子 のコメント:

    ワルンカフェの兵等です。バラカンさんとの対談どうでしたか?水野さんが高知に来たら連れていきたい
    カフェがあって、9月30日にそのカフェにバラカンさんが来るのです。何か私の中で繋がって、嬉しくなっちゃったです。残念ながら私は他のイベントでその日は行けないのですが、そのカフェにはいつか行って欲しいな~

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