カレーになりたい 170722

新刊「いちばんやさしいスパイスの教科書」の出版記念イベントを代官山蔦屋書店でやった。開場1時間前に現場に入り、いつもお世話になっている担当者と打ち合わせ、兼、世間話。
90分間、どんな話をしようかなぁと色々頭を巡らせたのだけれど、せっかく書店でやる出版記念イベントだから、スパイスの話を真面目にするというよりは、書籍を作るということについての話を織り交ぜながらすることに。スライドは、新刊の前頁PDFを見せながら話す。
200ページあるのだけれど、改めて各ページを見てみると、その文字量に我ながらビックリ。どのくらいだったかな。たしか、16万字程度だった記憶があるから、400字詰め原稿用紙で400枚分ということになる。
いったい、いつこんな量の原稿を書いていたんだろうか……。イベントの打ち上げでそんな話になったら、担当編集者が、「ニューヨークにいらしたときに送られてくる原稿量が尋常じゃなかった」とコメント。そういえば、別の本の取材で2月にニューヨークに数日間いたとき、僕は、取材以外の時間はすべてこの本の執筆に当てていたのだった。ホテルの部屋か街中のカフェにしかいなかった。幸い(?)時差ボケだったから、夜中も眠れず書きまくったのを思い出す。書き終わった本は「よく書けたなぁ」と思うけれど、次に書く本は、「本当に書けるのかな」と不安になることはない。不思議だなぁ、と思う。
不思議だといえば、イベント終了時に新刊を買ってくれた人が20人以上、サインの行列を作ってくれた。すごく嬉しいことだし、一人ひとりとお話ができる機会だから、貴重だとは思っているけれど、いつもサインをお願いされるたびに思う。僕のサインなんかもらってどうするんだろうか、と。本当に毎回必ず思う。
ありえないことだけれど、僕がお客だとして水野仁輔のイベントに行って新刊を買ったとしても、僕は水野仁輔からサインをもらいたいとは絶対に思わない。いつもお客さんは本当に嬉しそうにしてくれるけれど、僕は本当に申し訳ない気持ちを隠してサインを書いているのだ。不思議なことだ。

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