カレーになりたい 170720

ある漫画家さんとのコラボレーション企画で、僕のファイナルカレーのレシピを使って、「ファイナルカツカレー」なるものを作った。梅酒としょう油に漬け込んだ豚肉を低温調理してからカツにし、カレーと一緒にいただく。
この撮影で改めてファイナルカレーのレシピを自分で実践してみたが、まだまだアレンジの余地があるなぁ、と実感。すなわち、全く持ってファイナルではない。本が発売されてからまだ2か月も経過していないのに、もう細かいプロセスの順序をひっくり返したり、抜き出してはめなおしたりしたくなっている自分。
結局、その夜に予定していたカレーの学校の授業では、ファイナルカレーアレンジ版のデモンストレーションを実施した。どんな狙いからどの部分をどう変えたのかを解説しながら。それがよかったのかどうか……。
本の編集を担当した加藤くんからはこんな話があった。
「水野くんは、これから先、ずっとファイナルカレーを作り続ける運命にあるのだけれど、決してアレンジしてはいけないと僕は思う」
彼の言いたいことはよくわかる。ミュージシャンがファーストアルバムで録音した楽曲をライブでアレンジしたら、ちょっとがっかりする。いつもCDで聴いている曲のまま生で聴きたいという気持ちがあるからだ。
でも、ステージで歌っているほうからすると、より心地よいアレンジを見つけてしまったら、披露したくなる。最初にレコーディングしたようには歌えない。少なくとも僕は原曲のまま歌いたくないシンガーだということになる。まあ、これは性格的なものだから、仕方がない。
学校で僕のアレンジデモンストレーションを見た生徒がこんなことを言っていた。
「変幻自在に変わるレシピ。カオスの世界だ」
確かにそんな見方もあるのかも。でも、みんながみんな、そんな風にレシピの変化を楽しんでくれるわけではないんだよなー。

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