カレーになりたい 170629

突然だけれど、普段、頭の中でグルグルと考えていることを書き始めてみようと思う。
そんな風に思ったのは、つい最近、驚くような事態に遭遇したからだ。仲間内で主催するカレーイベントの打ち上げで、10数名ほどいただろうか、顔見知りの何人かから、全く予期していなかった指摘を受けた。
「水野さん、最近、なんで方向転換したんですか?」
「???」
指摘されていることの意味が全くわからなかった。どうやら、僕が、18年前に自ら立ち上げた“東京カリ~番長”というグループから脱退し、“カレースター”を名乗り始めたことが原因のようだ。番長というサブカルな世界を捨て、スターというメジャーを狙いに行った肩書きを名乗るようになるなんて、自分たちの知っている水野らしくない。どういう心境の変化なのかを知りたい。そういう主旨のよう。
本当に僕は、言われていることの意味が一から十まで理解できなかった。
僕は18年前から何も変わっていない。そもそも東京カリ~番長になりたくてなったわけでもなく、いまでもカレースターになって(?)喜んでいるわけではない。長い間、自己紹介に苦しんできた、すなわち自分のことをわかりやすく説明するいい言葉がなかったから、いわゆる肩書きをつけることについてはとっくの昔に諦めていたのだ。
だから、番長を辞めるのもスターになるのもはっきり言ってどうでもいいことだった。肩書がなんであれ、僕がやりたいことに変わりはないのだから。だって、僕は18年前に「カレーになりたい!」と叫んだ変な男なのだから。なりたいものがあるとすれば、番長でもスターでもなくカレーなのである。
「僕は何も変わっていない、ブレていない!」
飲み屋で珍しく声を張り上げて反論した。それくらいビックリする指摘だった。でも、反論しながら、むなしさも感じていた。身近にいると思っていたはずの人たちが高い確率でミスリードしている。SNSには毎日新しい水野情報が更新され、書籍の新刊は例年になく何冊も出て、おまけにNHKでレギュラー番組を持ち始めた。
「あーあ、あいつ、変わったな」
この誤解を飲み屋で一所懸命説いたところで彼らを説得することはできないのだ。知人の一人が、僕の言葉を途中で遮って言った。
「でもさ、水野さんは、周りがそう思い始めていることを自覚する必要はあると思うよ」
確かにその通りなのかもしれない。僕が変わろうと変わるまいと、周りの人がどう感じるかをコントロールすることはできない。それでも、僕のことに少しでも興味を持ってくれる人が世の中にいるのだとしたら、その人たちには僕の考えていることを愚直に伝えていく必要があるのだと思った。
大きなステージで声を大にして心境を吐露するつもりはない。「カレー計画」という誰が読んでくれているかわからないようなこの場所で、ひっそりとでも僕が日々、考えていることを打ち明けていきたいと思う。それが、顔も名前も出して世の中にカレーのことを発信している僕が自覚するべきことなんだろう。
できるだけ、些細なことでも日々、綴っていきたいと思う。
長文、読んでくれてありがとうございます。
 
水野仁輔

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