カレーになりたい 171003

湘南方面へ車で往復すると、なぜか、帰りに眠くなる。
湘南Tサイトで料理教室を終え、帰りに吉祥寺に寄った。友達の黒崎さんが始めた書店「book obscura」のオープニングパーティがあったので、お祝いにかけつけた。シャンカールと現地で待ち合わせしていたので合流。黒崎さんにちょっと挨拶し、ざっと店内を見て回る。と、写真集が多い。大学時代に写真にのめり込んでいたから懐かしい写真集がいっぱいあった。
特に中平卓馬の「来たるべき言葉のために」とか、森山大道の「写真よさようなら」とか、なんでこんなものが!? というお宝写真集の数々。ホンマタカシが記憶喪失後の中平さんを撮った写真集を眺めていたら、その顔が、最近、代々木公園でよく目にするおじいさんにそっくりで、もしや、あの人は中平卓馬だったのか!? いや、数年前に中平さんは亡くなっているはず…などとグルグル頭を巡らせながら、いろんな写真集を見た。
ちょっと店の外に出て、店先に腰を下ろし、シャンカールとふたりで来年のインド旅についてスケジュールの打合せをする。来年の2月はチェティーナード料理をテーマに旅をする予定になっている。ところが、僕たちはチェティナード地方について、その料理について、あまりまだよく知らない(ま、だからこそテーマにしているのだけれど)。しばらく話し合って店に戻った。
店内の片方の壁には額縁に飾られていた写真が15枚ほどあって、遠くからそれをざーっと眺めたら、ひとつ、いいなと思う写真があった。近づいて撮影者を確認する。「在本彌生」とある。おー、なつかしい。在本さんか。言われてみれば在本さんっぽい色味だ。ふむふむ、と写真を見ていると、後ろから「こんばんは」と声をかけられた。林さんだ。「おー、久しぶり!」と言って話をする。本当に何年ぶりだろうか。聞けば、雑誌「TRANSIT」の編集長をしているそうだ。そりゃ、大変そうだ。
近況報告がてら、来年のインドの話をすると、衝撃の事実。
「在本さん、最近、チェティナード(地方)にハマっていて、よく行ってるんですよ」
「ええ!? 本当に!? 僕ら、来年のテーマがチェティナード料理なんですよ」
「そうなんですか!? 何号か前のTRANSITでインド特集したときに、在本さんにチェティナードに行って写真撮ってきてもらったんですよ」
「インド特集してましたね、そういえば。それ、まだ売ってるのかな」
「もう、ないかなー。いや、編集部から送りますよ。あ、でも、この店にあるかも」
偶然、TRANSITインド号があったので、購入。パラパラめくると在本さんのページが8ページほどあった。これはお宝だ! こんなことってあるんだなぁ。
帰宅後すぐに在本さんに連絡すると、すぐに返事が来た。しばらくやり取りをする。いろんな情報が入ってきて、ワクワクした。早めに在本さんに会わなければ。ひとまず、早々に飲みに行く約束をした。彼女は来年早々に3度目のチェティーナードを旅し、写真におさめて作品作りに取り掛かるのだという。
しばらく眠っていたインド熱が久しぶりに沸き起こってくるのが自分でわかった。やっぱり僕は目的が明確にあって、そこへの道筋が見えると俄然、モチベーションが上がるタイプなんだな。そして、そんなとき、いつも決まって誰かが助け舟を出してくれる。今回のキッカケは「book obscura」だった。今回、この場所で再びつながったほとんどの人が数年会っていなかったし、その間、メールのやり取りもしなければ、SNSとかでつながっていたわけでもない。チェティナード料理をテーマにしなかったら、旧交を温めるチャンスもなかったかもしれない。
僕にとっての旅の醍醐味はここにある。
僕が最も好きなプロ棋士、故・升田幸三はこんな名言を残している。
 
「勝負は、その勝負の前についている」
 
これをパクって僕もひとつ、迷言を残しておこう。
 
「旅は、その旅の前にはじまっている」


カレーになりたい 171003 への1件のフィードバック

  1. ワルンカフェ のコメント:

    TRANSITインド特集は本当にいい!何度も開いてはインドに思いをはせています。
    あのページの先に行けるなんて素敵です。きっといい旅になりますね!

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