41冊目/カレーライス進化論

「カレーについて1冊、新書を書きませんか?」
と、ある編集者から依頼があった。きっかけは、僕が東京スパイス番長メンバー3人と共著で書いた「インドよ!」を読んでくれたことだったそうだ。あの当時、僕は、「インドよ!」を読んだという人に必ず冗談半分で尋ねていることがあった。
「4人の文章で誰のが一番好きでした?」
その編集者は即答した。
「シャンカールさんですね」
じゃあ、ジャンカールに依頼してくださいよ~、とその場で突っ込んだかどうかは憶えていない。まあ、その新書は僕に書いてほしいと言ってくれたのだから、素直に受けてやることにした。
日本のカレー全体を俯瞰して魅力を語れるような本を、という話だったので、それなら、その当時の僕の頭の中にあるもの(それまで経験したことや学んだことを踏まえて)で書けるなと思った。でも、僕は本が好きだから、新しい本を書くチャンスがあるのなら、その本のために汗をかきたいといつも思っている。
今の僕に足りないものをインプットして本でアウトプットしたい。興味を持ってはいたが、実際に素通りしていた日本のカレーの海外進出について書こうと思ったのだ。このことは別に出版社からそうしてくれと頼まれているものではないから、僕は自腹で上海とニューヨークへ取材の旅に出かけて行った。
結果的には刺激的な話をいろいろと聞けたし、そこを巻頭に持ってくることによって、全体構成にも話の展開にも一本筋が通ったと思う。
日本のカレーのすばらしさをほとんどの人が知らない。外国人には想像もつかないことだし、日本人もどこまですごいのかを自覚できていない。
「うちの愚息がね……」なんて謙遜の常とう句があるけれど、そんな風に息子のことをとらえている親に対して、「いやいや、お宅の息子さん、こんなこととかあんなこととか、とにかくすごいんですよ!」みたいなことをおせっかいで伝えた本になったような気がする。
日本のカレーはいま、どんな状態にあるのか。これからどこへ向かうのか。その魅力が世界じゅうに知れ渡ってくれたら面白いなと思う。
シャンカールには書けない一冊になったかな。どうかな。なってるといいけどな。


カテゴリー: 僕はこんなカレー本を出してきた |

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