カレーになりたい 180827

フランスの家庭には買い置きのドレッシングがないそうだ。
パリに20年以上住む友達にそう聞いた。マヨネーズやドレッシングは、家庭で作るものだから、出来合いを買う文化はマイナーらしい。フランスの食生活についてエッセイを執筆中の彼女は、こう言った。
「料理をするなら中身のわかっているものを使いたいの」
そう僕も思う。だから今年の新刊エッセイのあとがきに僕はそのことを書いた。冒頭にこうある。
「カレーを作るときに自分が使う素材の正体は、全部わかっておきたい」
たとえばトマトソースは使ってもトマトケチャップは使わない。そう話をしたら、ケチャップのくだりは、彼女もエッセイで紹介しようと思っていたそうだ。もちろん、フランス人は、ケチャップも使わないのだという。(まあ、人によるって話だけれど)
健康に配慮しているわけではない。正しい食生活を送る、みたいなことにも興味はない。だって、正体の知れないカップヌードルやスナック菓子のようなものを普通に食べているのだから。
ただ、自分が料理をするときには、自分のアイデアと実力で目の前の素材をおいしく仕上げたい、という気持ちが強い。だから、よくわからないもののおかげで味が濃くなったりおいしくなったりする行為は避けたいと思っているのだ。
それだけのことだ。
フランス料理が昔から好きだ。詳しくないし頻繁に作ったり食べに行ったりするわけではないけれど、素材からあらゆる味わいを引き出すという姿勢が好きなんだと思う。それは、他で訪れたことのあるどの国よりも進んでいるような気がする。
そういえば、彼女に紹介してもらった「Dersou」の関根くんは、いま、パリに2軒目のレストランとして、広いアジアンビストロを作っているという。
「またいろんなこと言われるんだろうな」
「大丈夫よ。フランス人は新しいものが好きだから。一部の日本人の中にはなんか言う人がいるかもしれないけれど」
そんな会話をしたという。彼も心無い人たちの言動につらい思いをしている一人なんだな、と思った。オープンはいつになるのかな? ああ、また行きたいなぁ、おフランスに。
 

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