100年後のカレーを提供するレストランをパリで開きたい。
パリでオーナーシェフとして活躍する関根拓くんが、WEB料理通信の連載「食を旅する」で、第8回「カレー、水野仁輔さん。」の記事をアップしていた。彼は世界中でひっぱりだこのシェフだけれど、一方で無類のカレー好き。友人の紹介で知り合って意気投合し、いまは、僕が主宰する“欧風カレー番長”のメンバーの一員である。今度、11月にパリで一緒にカレーを作ろうという話になっている。
そんな彼が書いた文章で、記憶に残る一節があった。
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僕は100年前のカレーと100年後のカレーを思う。
100年前からのたゆみない先人たちの努力のおかげで、今日の日本のカレーがあるのなら、僕は100年後のカレーのために、ファンとして少しでもその進化に貢献できればと思っている。
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なんだよ、キザなこと言うなよな……、みたいな気持ちがありつつも、それがちょっとした嫉妬心から来ていることを僕は自覚している。あんな風に軽やかに気持ちを綴ることができる彼が羨ましい。その延長で僕は思う。100年後のカレーは、いつかきっと僕たちが作るのだ! と。
今日は、終日、AIR SPICEに関する作業に費やした。朝から次月のテーマのカレーのスパイスブレンディングをトライして配合を確定させる。発送業務の整理と問い合わせ対応をし、税理士さんと経理処理に明け暮れる。忙しさにかまけてあれこれとため込んだ仕事を遅めの夕方に終え、久しぶりに何もない夜を迎えることになった。近所の通いなれた和食屋さんに行き、カウンターで日本酒を頼んでチビチビやりながら、100年後のカレーのこと、そのためにAIR SPICEができることについて思いを馳せた。こういう時間を持てるのはいつぶりだろう。
やりたいことがまた次々とあふれ出してくる。こういうときは、メモを取らないようにしている。頭に浮かんだ数々のアイデアは、おそらくその90%以上が冷静になってみるとたいしたことのないものだ。しばらく寝かせておいても記憶から消えないアイデアこそが実行する意味があるものだと思っている。そんな言い訳をしながらマメにメモを取れない自分を正当化する。
すぐにでも行動に移したいことがひとつだけ浮かんだ。これは明日から動こう。日本酒を一合あけたころに、締めのソースかつ丼が運ばれてきた。つまみにしていたちりめん山椒の山椒だけを箸でつまみ、カツの上にきれいに並べる。準備は整った。さて食べよう。トンカツを口に入れサクッと噛んだ時に、そういえば、と思い出した。僕が将来やりたいと思っているフランスでのカレー専門店は、名物メニューをカツカレーにしようと思っている。ビーフカツなのか、ポークカツなのか、チキンカツなのか、ラムカツなのかは決めていない。でも、僕はカツカレーに大いなる可能性を感じているのだ。
有意義な1日になった。月に一度はこういう日を持たなくちゃいけないな。

