04冊目/東京カレーバイブル

デートで使えるようなカレーガイドをつくろう。
そう編集者と話をした記憶がある。
「デートで使えるカレー」というフレーズは滑稽な表現だった。
そういうイメージがカレーになかったからかもしれない。
表紙のカレーは、六本木飯倉片町の交差点にある、
老舗イタリアンレストラン「キャンティ」のカレー。
この本のコンセプトをわかりやすく表している。
コラムに「ロンドンカレーバイブル」というものがある。
3ページに渡って、ロンドンの最新インド料理事情について語ったものである。
当時の日本では全く紹介されたことのなかった世界だが、
コラムの中で、僕は、いつか日本のインド料理事情もこのくらい
盛り上がるときがくるだろう。
ロンドンのインド料理にもっと注目するべきだ、と書いた。
でも、それから10年間、全く誰も注目した形跡がないのには
少し無力感を感じてしまう。
ロンドンは、いま、ミシュランで星を獲得するインド料理店が、
6軒もあって、10年前から進化し続けている。
そして、僕は今年の年初に3か月、ロンドンに滞在して
モダンインディアンレストランを食べ歩いた。
10年前からの進化には驚かされたけれど、
考えてみれば「東京カレーバイブル」で僕がまいた種は、
誰も振り向いてくれないまま、自分で刈り取ったような形に
なったのかもしれないなぁ。
  
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カテゴリー: 僕はこんなカレー本を出してきた |

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