ピクルスとアチャールの違いが何なのかはわからないのだけれど、
ともかく、冷蔵庫の中にあった、ミックスピクルス（アチャール）を
ヨーグルトと合わせて鶏肉をマリネした。
マスタードオイルをピッピッとふって、ひと晩、寝かせる。
自宅にあるタンドールで焼くと、僕の辞書にないタンドーリチキンが現れた。
やたらとおいしいのである。
そこで、考える。
アチャールとは、いったい、何者なんだろう？
いっぱい頭を悩ませたところで、答えは出てこない。
何と何がどう反応して、この味わいが出るというのだろう？
酸味と辛味と風味と、ほんの少しだけの苦味の均衡は、
いったい誰がどうやって、保っているのだろう？
考える。考え抜く。考え込む。
それでも、正解はわからない。
ま、仕方ないとするか。
そんなにも気にしなくてもいいじゃないか。
だって、アチャールが好きだから……。
　　　
2016年　晩春　水野仁輔