カレーになりたい170719

風変わりな料理教室をやった。生徒は、30名以上、全員、美容師。下北沢の貸しスペースを使って実施。主催者も元美容師。僕の料理教室や学校は本当にさまざまな仕事をしている人、さまざまなジャンルに身を置いている人が来てくれるけれど、ある職業の人だけが集合する会というのは初めての体験だ。
スパイスカレーのレッスンをすることになるから、いつも通りにやるだけである。ただ、受講する美容師の方々のスパイスへの関心やスパイスカレーへの知識や経験量が読めないから、初心者でもわかりやすいように話を進めていく。
……と、僕のマニアックな料理教室を一度、受けたことのある主催者が、後半になって、僕に耳打ちした。
「デザインカレーの話もよかったらしてください。みんな興味あると思います」
僕はちょっとびっくりした。デザインカレーというのは、思い描いた(デザインした)色味のカレーソースを作るためにレシピの設計をするという考え方のことを言う。さらに難しい概念としては、システムカレー学というものがあって、この考え方は、カレー屋さんのシェフですら、理解しきれないのではないかと思うほど複雑怪奇なのである。
その話を美容師さんたちにしてくれ、と!?
「カラーリストの方もたくさんいるから、絶対に興味を示すと思います」
僕はカラーリストがなんなのかもわからない。美容院では、カットのほかにカラーリストという人がいるようだ。ともかくリクエストがあった通り、デザインカレーの話をした。心なしか、参加者の目つきが変わったような実感があった。
結果、教室が終わってみて、参加した方々の声を聴いてみると、とにかく非常に響いていたようだった。ある人は、こう言い残して帰っていった。
「こんなに興奮したのは、小学生以来!」
美容とカレーとにこんな接点があるとは思いもしなかったが、聞くところによると、参加してくれた方々は、ある美容院の現役、もしくは出身者ばかりで、その美容院の創業者は、日本の美容師業界に新しい考え方を提唱し、美容の概念を再構築した人だという。主催者の方がイベントを企画する前に話していたことを思い出す。
「水野さんのカレーに関する考え方やアプローチがすごく似ているんです」
まさか美容師のみなさんがデザインカレーにあんなに興味を示してくれるとは思ってもみなかった。思わぬところに共通点というのはあるんだなぁ。

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