カレーになりたい 180615

突発的にマクロビオティック料理(?)を学び始めた人の話を聞いた。
僕はマクロビとかアーユルヴェーダとかオーガニックとか、その手の意識高い系ワードが苦手で、
できるだけ身を遠ざけていたいと思って今まで触らないできた。
なんかの間違いでそういう世界の人たちからコンタクトいただいても、期待に応えられそうもないし、
誰かをガッカリさせることがないように予防線を張らなくちゃ、と思っている。
ラジオ番組でカップ焼きそばやポテチを食べまくったりすることで(まあ実際に好きなんだけど)、
「僕は料理の仕事をしていながらどうしようもなく意識の低いダメ人間なんで近づかないでくださいね」
的なアピールを間接的にしてみたりして、自分の身を守ってきた。
ので、身近な人がマクロビにハマるのは意外なことだったし、そういうことなら、
せっかくの機会なので、いろいろ話を聞いてみたいと思ったのだ。
要するに興味はあるし、自分なりに勉強してみたい、と昔から思っているのだけれど、
なんとなく外から見えるコミュニティに身を置きたくないという気持ちが強かったのだと思う。
(そんなコミュニティがあるのかどうかも疑わしいというのに……)
ともかく、話を聞いてみて感じたのは、共感できることはたくさんあるなぁ、ということだった。
じゃあ、なぜ、僕は近づかないようにビビっているんだろうか。
その後しばらく頭をめぐらせていると、ふと、20年ほど前に見たテレビ番組での会話を思い出した。
ダウンタウンの番組にウルフルズが出演したときのことだ。
トータス松本さんが、とある超人気バンドのことを「嫌いなんですよ」と名指しで話していた。
意外な発言だったけれど(嫌いだろうなとは思ったけれど、それを番組の中で言うということが)、
話の流れ的に違和感がなかったし、トータスさんのキャラで半分冗談、半分本気みたいな感じで
爆笑が起こっていたから、いやな感じは全くない発言だった。
その発言に驚きのリアクションを取っていたダウンタウンのふたりにトータスさんが言った。
「音楽に対するスタンスが違うんですよ。あるでしょ、あいつらの笑わせ方は嫌いだっていうの」
そんなニュアンスの内容だった。
それに対して、松本人志が何度も大きく頷いて「わかるわー!」と声を上げていた。
視聴者の僕は、「きっとあのコンビのことを言ってるんだろうな」とか想像して見ていた。
音楽が悪いわけではない。音楽の作り方や聴かせ方が違うのだ。
笑いが悪いわけではない。笑いの作り方や笑わせ方が違うのだ。
だから結局は何も悪くはなく、誰も悪くはないのだろう。ただ違う、ということなのだろう。
あんなに昔々の話なのに、あの会話のやりとりをいまでも鮮明に覚えているのは、当時の僕が
やはり激しく共感したからなのだと思う。
マクロビもアーユルヴェーダも、僕は興味があるから学びたいと思っている。
でも、学問としての内容に共感できたとしても、スタンスに共感できそうもないことが
自分を臆病にさせているのかもしれない。
ただ、僕が不勉強なだけで、きっと、ウルフルズやダウンタウンのようなスタンスで
この世界でアウトプットをしているものもきっとあるのだろう。
カレーの世界における水野のスタンスだって、まあまあハッキリしていると自覚しているけれど、
「あいつの笑わせ方は好きじゃない」って人もたくさんいることだろう。
そりが合うのを見つけるって、大事だなぁ。

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