カレーになりたい 180512

発酵デザイナーの小倉ヒラクくんに久しぶりに会った。
出張先のミラノから帰ってきたばかりという彼は、僕に会うなり、最近、AIR SPICEを買い始めたこと、そして、そのAIR SPICEがどれだけ革命的なサービスなのかをやってり張本人の僕に対して、怒涛のようにまくしたてた。
「AIR SPICEのおかげで、僕、カレーのことがわかってきました!」
ヒラク君がわかってきた、と言うと、本当にわかってきたんだなという気がする。彼の主張はこんな感じだった。
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とにかくAIR SPICEはレシピの設計がすぐれている。これまでいろんなカレーの本を読んできたけれど、レシピ本ではわからなかった「カレーという料理の構造」が手に取るように理解できる。まだ始めて3か月目だけれど、作りながらカレーってこういう仕組みになってるんだ、というのがわかってきたから、キッチンで感動して思わず声を上げてしまうこともある。きっと水野さんがカレーを構造分解して組み立てなおすみたいなことをやってきているからそれがAIR SPICEに出ているんだと思う。そうか、発酵もスパイスと一緒で一見、難しそうに見えてハードルが高いけれど、結果から見せて中身の構造をこんなふうにアウトプットしていけば届きやすくなるんだ、とかいろいろ勉強になっている。云々。
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久しぶりに再会して30分ほどの間に、息つく暇もなく……。
僕はヒラクくんがAIR SPICEを買ってくれていることに驚いた。そして、そこまで深読みしてもらえるのは、きっとヒラク君だからだよ、と言っておいた。確かに彼が言う通り、カレーという料理がどういう構造をしているのかを分解し、スパイスを使ってカレーを作るためのルールを作り、それにのっとればスパイスカレーが無尽蔵に作り出せるという仕組みを考えてサービス化したものがAIR SPICEである。でも、そんな小難しいことや説教臭い(?)ことは、僕が伝えるべきことではない。だから、AIR SPICEの利用者にはそんなことは発信していない。ただ、月に一度くらいマニアックなスパイスがレシピと一緒に届いて、おいしいカレー生活が送れるなぁ、というシンプルな喜びを提供できていればいいと思っている。
とはいえ、ヒラク君のように、それこそ発酵の世界で発酵料理を構造分解し、組み立てなおし、デザインしている人からすれば、手に取るように理解してくれることなんだろうな。改めて「この人はすごい」と思った。そして、彼の熱のこもったトークに触発されて、AIR SPICEの一般の利用者さんたちにも、何か、このスパイスカレーをデザインすることの面白さを伝えられるような何かを考案してみたい、と思っている。
自分のやっている作業によって、「おいしいカレーを作っている」というゴールの価値だけでなく、「作る行為自体の価値=プロセスの価値」も感じられる何かを。
 

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