カレーになりたい 180419

新刊「わたしだけのおいしいカレーを作るために」を校了した。
今年は、珍しく、1冊入魂で取り組めたから、じっくり向き合うことができたかな。書いては読み書いては読みを繰り返す。原稿を入稿した後、校了までに修正するチャンスはそんなにたっぷりはないのだけれど、それでもギリギリまで諦めずに何度も読む。そのときに心がけていることがある。仮想多重人格者(?)になることだ。
たとえば続けて3回、原稿を通しで読んで修正するとしたら、一回目は、極端にロマンティストな水野が読む。二回目は、極端に理屈っぽい水野が読む。三回目は極端に心配性な水野が読む。この人格はいつも決まっているわけではない。読み始める前に、「このキャラでいこう」と決める。
そうすると、恥ずかしくなるようなロマンチックな語り口と理路整然とした語り口と徹底的にネガティブチェックした語り口と、3つのフィルターを通った文章が出来上がる。それがいいかどうかわからないけれど、少なくとも自分は楽しめるし、少しくらいは想像を超えた表現が生まれたりすることもある。どうせ僕が書いた文章は、どう人格を変えても僕の表現を大きく踏み外すことはできないわけだから(つらいことに、それが実力ってやつですね……)、それくらいの遊びがほしいよね、と思っているのだ。
発売は1か月後。どの人格の水野でもいいから、読者に届くといいなぁ。

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