カレーになりたい 180218

カライクディの街に入り、すぐにチェスをすることになったのは、宿泊するホテルのロビーにあったからだ。
チェスは、小学校のときにして以来、やっていない。駒の動かし方もなんとなくしかわからない。
それでも右手の親指と人差し指でビショップをつまみ、空いた中指を使って相手のポーンを取ってみたりすると、なんとなくチェスをしているような気持ちになれる。
相手も似たようなものだから、このゲームはいつまで続くのか、いつになったら終わりが来るのか、わからない。
勝つか負けるかもわからなければ、勝ちたいとも負けたくないとも思わない。
なんだ、これ。
カレーを作るのも同じようなものなのかもしれないな。
作り方の正しいルールがわかっているわけではない。
それでも右手の親指と人差し指でカルダモンをつまみ、空いた中指を使ってシナモンを取ってみたりすると、なんとなくカレーを作っているような気持ちになれる。
食べる相手も似たようなものかもしれないから、このカレーはいつ完成するのか、はたしてカレーになるのか、わからない。
うまいかまずいかもわからなければ、どうしてもうまいと思わせたいとも思わない。
なんだ、これ。
さ、チェックイン、チェックイン。
  

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