カレーになりたい 171130

モテるカレー、モテるスパイスについて話してください。
今日、生出演したJ-WAVEの番組で、台本にそう書いてある。モテる!? 唐突になんでそんなことが書いてあるんだろう? 出演前に作家さんと打ち合わせしたときに尋ねてみた。
「水野さんが、何かの雑誌かWEBでモテるカレーについて語ってましたよね」
「え? そうでしたっけ!?」
全く覚えていないが、書いていてもおかしくないかも。そう思ってこの台本にのっとって話すことにした。僕の登場まで10分ほどある。さあて、モテるカレーをどう説明しようか。スパイスについて掘り下げるテーマだったので、モテるカレーはスパイスカレーだということにしよう。そこまではすっと決まった。その後が問題だ。スパイスカレーだとなぜモテるんですか? とくるはず。その答えを用意しなければ。ルウでカレーを作るのは簡単だ。でも、スパイスで作るのはちょっとだけ難しい。スパイスを使いこなさないといけないからだ。道具を上手に使いこなせるというのは特殊技術だと思う。たとえば、車の運転が上手な人がモテるのと似ているかもしれない。そこまで考えて、そうだな、今日のラジオでは、スパイスの使いこなしを車の乗りこなしになぞらえて話すことにしよう、と決める。この間、たった3分ほどだ。それでもこの3分があるかないかでラジオでしゃべったときのリスナーの反応は違うと思っている。ラジオでしゃべったりトークイベントでしゃべったりすることはもうとっくに慣れっこだけれど、いつだって直前にこのくらいの準備はしている。
トーク本番が楽しく終わり、パーソナリティのクリス智子さんとツーショット写真を撮る。出演後の写真撮影はお決まりのパターンでたいてい、番組ブログやSNSに上がる。この番組では、小さな黒板にゲストがひと言を書き、サインを添えて手に持つことになっているそうだ。どうしよう、とちょっと考え、いつもの言葉を黒板に書いた。
「カレーになりたい」
さあ、写真を撮ろうとクリス智子さんと横並びに立つと、シャッターを切る前に彼女が僕の黒板をのぞき込んだ。書いてある言葉を読んだ直後に「カレーになりたい?」吹き出し、笑いながらこう言った。
「バカじゃないの!?」
その一言で僕は、すっかり喜んで舞い上がってしまった。あれ? 僕は“M”なのか?
「やったー! バカじゃないのって言われたー」
と言うとその場のスタッフも含めて笑いが起きる。
「日記に書こう」
そう続けたら爆笑が起きた。
「炎上するかも」
クリス智子さんが小さな声で言った。そう、だから、いま、僕はこのことを日記に書いている。やっぱりラジオ、好きだなぁ。

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