カレーになりたい 171111

安いホテルの部屋には窓がひとつあるが、部屋の中にいるときにカーテンを開けることはほとんどない。
ホテルは半地下階で地上からベッドの上が丸見えだから。朝、起きても外が暗いか明るくなってきたかをカーテンのすきまからちらりと確認する程度。ジョギングウェアに着替えてホテルのエントランスまで行き、扉を開けて外に出た時に初めて新鮮な空気を吸うことになる。意外とこれが楽しみで、頬にあたる痛いくらいに詰めたい風が心地よく、気に入っている。
いつもと同じようにあの心地よさを期待してエントランスまで行くと、雨。ああ、そうか、ここはロンドンだった。雨がよく降るんだ。ジョギングを諦めてコーヒーを飲みにカフェへ行く。これまたいつものようにノートPCを持参。ここで朝、原稿を書いたり仕事をしたりする。1時間ほどやって、店の外を眺めると、傘をさしている人がいない。

お、晴れたの?
あ、走れるの?

そう思ったときにふと気がついた。

え、俺、走りたいんだ。

自分にとってはちょっとだけ新しい感覚かもしれないと思った。ま、だからといってこの感覚が長続きするとは限らないんだけどね……。

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