カレーになりたい 170808

将棋棋士の森内俊之九段と呑んだ。
昔からずっと憧れていた人と対談イベントをして、後日、プライベートで呑みに行ける。ありきたりすぎるけれど、ああ、カレーをやっててよかったなー、と思った。
「近いうちに軽く一杯いかがですか?」
とメールが来たときは、一瞬、迷惑メールかと思ったほどだ。しかも、それ以上に嬉しいお誘いを頂いたのだけれど、それは本当に実現したときにここで書きたいと思う。
神保町のカレー店で待ち合わせたが、19時集合の予定で、僕が現地に到着する見込みは、ギリギリの時間。まさか森内さんをお待たせするわけにはいかない。本当なら僕は5分も10分も前について待っていなくちゃいけない。ヤバい。駅からダッシュした。汗だくになってはあはあと息を切らせながら店の前に到着したのが、18時58分。幸い、森内さんはまだだった。
ほっとして、もしかしたら、何かメールで連絡が来てるかも、とケータイを取り出してチェックする。画面を眺めているちょうどそのときに、なんと森内さんから着信があった。液晶に「森内俊之」の名前。
僕は、去年の後半にスマホを買って、3年ぶりのケータイを所有したわけだけれど、そもそも電話で話すのが嫌いだから、周囲の人には番号をほとんど教えていない。「教えてください」と連絡があった人にも、そこはスルーするか、教える時に、「鳴っても出ませんよ、僕」と超面倒くさいコメントを残すことにしている。でも、森内さんからの着信を受けないわけにはいかない。
(このあたり、器の小さいエコひいきがダサいと自分でも思うが……)
電話に出ると、「神保町にはついたが、ちょっと迷っているので先に入っていてください」と律儀なお言葉。その電話の内容より何より僕がハッとしたのは、電話に出た時の森内さんの第一声だった。
「もしもし、あ、将棋の森内ですけど」
将棋の森内……、素敵。そういえば、僕も自分の名前を告げる時は、必ず「カレーの水野です」と言っている。同じだ! と思って喜んだ。僕には、今、カレースターというありがたい(?)称号があるのだけれど、まあ、周囲の人には通りのよさそうな名前だから重宝しているものの、特に愛着があるわけじゃなく、自分から名乗ろうとは思えない。だから、「カレーの人です」とか「カレーの水野です」がしっくりくるのだ。
「◎◎の……」というものがあることは、幸せなことだな~と改めて思った。こういうのを代名詞というのだろうか。「将棋の森内」と「カレーの水野」が呑んだ。それだけで今日という1日はよかったと思う。

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