43冊目/いちばんやさしいスパイスの教科書

スパイスの本はいつか出したいと思っていた。
僕にとって、スパイス本の処女作がこの作品でよかったと思う。
いちばんやさしい、と書いてある割には、ボリュームがたっぷりあって、
フレンチのシェフなんかも読み込んで絶賛してくれた。
イラストがすばらしい、というのも大きいかな。
実は、この本を出すとき、「スパイスの本を一冊つくりましょう」ということが先に決まった。
そのあと、フランスの出版社から出ている食に関するとある本のシリーズがあって、
その翻訳本が国内に出回っていて、それが僕は好きだったから、あるアイデアが浮かんだ。
そのフランスの出版社のシリーズでスパイスに関するものがないから、
そのシリーズの新刊として、日本語版でスパイス本を出させてもらえないだろうか、と。
この僕のアイデアはアイデアだけで終わった。
フランスの出版社に問い合わせるまでもなく、翻訳出版をしている担当者(かな?)から、
それはさすがに難しい、という話になって打ち切られたのだ。
まあ、不意に思いついたレベルのアイデアだったから、
気を取り直して、スパイス本を一所懸命つくった。
とはいえ、そのフランスの本のシリーズを強く意識する結果になったことは否めない。
スパイスやハーブについて僕が持っている知識や感じていることのほとんどをつぎ込んだ。
全体を構成する際に、男女の恋愛仕立て、という新しい切り口を入れたいと思った。
スパイスに詳しい男子が、片思いしている女子にスパイスの魅力を伝えていくという設定。
章が進むにつれて二人の仲は近づいていく。
この恋、どうなるの? みたいなエッセンスを入れ込んだ。
そうしたほうが面白がって読んでくれそうだと思ったし、僕自身が楽しんで書ける気がした。
なにせ、あの年は、忙殺の忙殺の忙殺という状況で、年に6冊もの本を出すことになったから、自分の気持ちを鼓舞する何かがないと原稿を書く自身が持てなかったのだ。
結果、その着想もとてもうまくいったと思う。
ただ、書きやすい章から書いていったせいで、男女の仲は時系列がめちゃくちゃになり、
自分で言い出したくせに自分自身が混乱したりしたけれど。
なんにせよ、とてもいい作品が仕上がって、よかったな、と思う。
もっともっと勉強して5年後くらいに第2弾が出せたらいいかな。
「いちばんやさしいスパイスの教科書」じゃなくて、
「いちばんむずかしいスパイスの教科書」とか。
誰が買うんだ!?
発売から1年が経過して、すごく嬉しい話があった。
件のフランスの出版社が、なんと、僕のスパイス本をフランス語に翻訳できないか、
という打診をしてきてくれたのだ。
そんなこと、あるの!?!?!?
この話が成立するかどうかはわからない。
でも憧れてシリーズの新刊で出したいだなんて思っていた出版社から、
翻訳させてもらえないかというオファーがくるなんて、オファーの時点で
僕にとってはゴールテープを切ったようなものだ。
さて、どうなるかな。
フランス人が読むなら男女の恋愛の在り方もずいぶん変わるんだろうなぁ。
 


カテゴリー: 僕はこんなカレー本を出してきた |

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