25冊目/水野仁輔の本当は教えたくないカレー 東京最好の100店 RETURNS

カレーの世界には新店が次々と生まれている。
同時に僕自身のカレーの好みもめまぐるしく変わる。
結果、5年ぶりに出版された「RETURNS」では、前作の100店のうち、50店ほどが入れ替わった。
本書については、担当編集者と語っている未来がある。
数年~5年に一度、改訂版を出し続けていこう、というものだ。
このことについては、ひとつ、この場で書いておきたいことがある。
カレー本の世界で、売れる本の企画は、レシピ本である。
決してガイド本ではない。
このことを把握している人は少ない。
が、30冊以上のカレー本を出し続けている僕は確信に近いくらい実感していることだ。
だって、過去に出版したレシピ本とガイド本の販売部数の差は歴然としているし、
毎年のように色々な出版社からいただく書籍制作の依頼を受けて本を出している僕は、
結果的にガイド本の5倍以上のタイトル(頻度)でレシピ本を出版しているのだ。
これが、何よりの証拠だ。
カレーのガイド本は、売れない。
本書「RETURNS」の制作依頼を担当編集者からいただいた時、
僕は率直にこう答えた。
「ガイド本は売れません。第2弾を出版しても僕は売り上げに貢献できない」
本の依頼はすごくうれしいことだけれど、無責任に受けてはいけないという気持ちがあった。
それに対する編集者の回答は、いまも僕の心の支えになっている。
「第1弾を出した時、数は少なくても読者から熱い反応をもらいました。
ああいう本はなかなかない。部数が出なくても、世の中に出す意義のある本は存在します」
この言葉にはしびれました。
人の考え方はさまざま。
著者仲間の中には、「売れない本なんて、世に出す意味は一切ない」という人もいます。
それも考え方のひとつだと思う。
でも、僕は本を出すことでお金がほしいわけじゃない。有名になりたいわけじゃない。
自分が面白いと思うことをアウトプットして、それが伝わる人がたとえ少なくても、
誰かに対して強力なインパクトを持ったり、誰かの日々に貢献できるものなら、
世に出る意味はあると思っている。
そのことをこのシリーズを定期的に出版していくことで、確かめたいと思う。
   
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カテゴリー: 僕はこんなカレー本を出してきた |

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