23冊目/3スパイス 3ステップでつくる はじめてのスパイスカレー

前作「かんたん 本格! スパイスカレー」のバージョンアップ版として生まれた作品。
スパイスを使ったカレーのレシピ本というのは、これまで極めて世の中に出にくかった。
なぜなら、売れないから。
出版社は、どこもある程度のマーケティングをしたうえで、カレー本の企画をたてる。
世の中のどのくらいの人が自宅にスパイスを完備してカレーを作っているのか。
一方、世の中のどのくらいの人が自宅にルウを完備しているのか。
それを冷静に見れば、スパイスのカレーほにょりルウのカレー本のほうが売れるにきまってる。
どの出版社も危ない橋は渡らない。
ところが、リスクを背負ってくれる出版社があって、本書は生まれた。
そして、驚くべきことに(予想外に、というべきか)、「はじめてのスパイスカレー」は売れた。
かつての「喝采! 家カレー」がそうだったように、本書が出版された翌年から、
僕の元には、新しい書籍も雑誌の取材も「スパイスカレー」についてのものが殺到した。
正直いって、僕は3スパイスで作るカレーよりも、
カレーごとに5種のスパイス、7種のスパイス、10種のスパイスなどなどを
使いこなしたカレーのほうが断然うまいことを知っている。
でも、スパイスを3種に絞ることによって、本書は広く一般の人に届く内容になったのだと思う。
本書の中で、僕は、ひとつ、新しい挑戦をした。
カレーを作るうえで最も大事なプロセス、
すなわち、炒め終わってこれから煮込むぞ、という手前の段階を
「カレーの素」という名前ですべてのレシピに写真を掲載した。
カレー素を作って水分と具を入れて煮込めばおいしいスパイスカレーは出来上がる。
本書を読んだとあるカレーメーカーの開発担当者から連絡があった。
「水野さん、本に書かれている“カレーの素”というのは、商標をとってらっしゃるんですか?」
「いや、とってませんよ」
「うちのメーカーから“カレーの素”という名前で商品を発売しても大丈夫ですかね(笑)?」
「いいんじゃないですか?」
僕は自分が思いついたりひらめいたアイデアを世の中にアウトプットしたとき、
その既得権益(?)を主張するつもりは全くない。
このアイデアでお金を儲けたい人は好きなようにやればいいと思う。
それは僕には関係ない。
僕は、また新たに誰も思いつかなかったカレーへのアプローチを提案しようと思う。
   
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カテゴリー: 僕はこんなカレー本を出してきた |

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