「炒カレー」と書いて、「チャーカレー」と読む。
「炒飯」と書いて、「チャーハン」と読むんだから、いいんじゃないか。
安易な感じでタイトルはつけたけれど、このテクニックは革新的なものだった。
湯にカレールウをあらかじめ溶いておいて、
肉や野菜の具を炒めて後から混ぜ合わせる。
あっという間にカレーができる。
このシンプルなテクニック一本で一冊のレシピ本を出したのである。
驚くほど単純な手法だけれど、実は、その裏には色々と考察があった。
カレーは煮込めば煮込むほどうまくなる、という迷信がずっとある。
本当にそうかなぁ? 僕は疑問だった。
煮込めば煮込むほどソースはうまくなる。
でも、具はある段階を越えるとまずくなっていく。
だって、具の味はソースにどんどん溶け出していくわけだから。
肉野菜炒めがうまいように、具の味わいを楽しむためには、
煮込むよりも炒めるほうがいいんじゃないか、と思ったのだ。
じゃあ、ソースの方はどうなる?
ソースは、カレールウを使うのならば、カレールウを信じよう、というわけ。
だって、カレールウは煮込んだ時に生まれるおいしさもしっかり計算した上で
あの固形のブロックの中に入っているのだから。
じゃあ、ルウの方は湯に溶いてソース状にしておけばいい。
そんな風にあれこれ考えてたどり着いたテクニックである。
これは、読者にとっては衝撃的だったようで、反響は大きかった。
料理研究家さんや著名な料理ブロガーさんなどもこの方式を採用したらしく、
いろんな方から、誰々さんがパクッてたけれど、許していいの?
みたいなタレこみ(?)が何度かあった。
僕は全く気にしていない。
僕が「炒カレー」というタイトルで本で披露した瞬間から、
このテクニックは僕から離れて独り歩きする。
真似したいと思った人は真似すればいいと思う。
さも自分が考えたかのように主張していた人もいたようだけれど、
それでもいいと思う。
だって、本当にその人は僕と全く同じことを考えたのかもしれないし。
ともかく、この炒カレーは、ちっちゃなところで一世を風靡した。
「チャーカレー」の名前がいまいち定着しなかったことだけは残念だけれど。
13冊目/感動! 炒カレー
カテゴリー: 僕はこんなカレー本を出してきた